事業等のリスク

当社グループでは、事業遂⾏上のリスクを「リスク管理委員会」にて把握・検討し、対象となるリスク及び管理の所在等を明確にしております。また、リスクを適切に管理・統制すると共に、リスクの顕在化を可能な限り防⽌し、顕在化した場合はその影響を最⼩限にとどめるため、リスクマネジメント体制を整備しております。

なお、⽂中の将来に関する事項は、2023年3月31日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ビルディング事業について

当社グループは、ビルディング事業において証券取引所、オフィス、商業施設及び住宅等の開発・賃貸・管理並びに売却等を⾏っておりますが、このうち企業向けオフィスビルの賃貸がビルディング事業セグメントの営業利益の過半を占めております。オフィス賃貸事業は、地価の動向等のほかに、経済情勢、需給バランスの悪化など様々な要因によって、新規⼊居や退去の状況、賃料改定動向等の賃貸市況が変化し、賃貸料の⽔準や稼働率が影響を受ける可能性があり、これらの結果、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、景気変動による賃貸料減少の影響を相対的に受けにくいと判断している東京都⼼3区、地⽅主要都市を中⼼にビルディング事業を展開することなどにより、賃貸収益が⼤きく減少するリスクの低減を図っておりますが、当該地域における賃貸料や稼働率が当社が想定する以上に景気変動、需給バランスの悪化等による影響を受けた場合などには、当社グループの賃貸収益に⼤きな影響を及ぼす可能性があります。

不動産開発及び売却においては、景気動向や不動産市場における需要の悪化、資材その他の建築費等の上昇等による投資の採算性の低下、今後の⾦利及び地価の動向、競合の状況、開発⽤地の仕⼊れの状況、共同事業者の破綻、開発の遅延、税制の変更等により、想定どおりの収益を獲得できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、売却⽬的不動産等のリスクコントロールに関する取扱いを定めること等により、売却までに景気変動等の影響を受ける可能性の低減を図っておりますが、当社グループが想定しない事情が生じた場合や、想定どおりの時期に売却できない場合等においては、想定した収益を獲得できない可能性があります。また、住宅分譲事業については、現在進⾏中のプロジェクトはありませんが、今後住宅分譲事業を⾏う場合には、⼤型物件の竣⼯及び引渡し等による業績変動、共同事業者の破綻、供給過剰による販売競争の激化等により、想定どおりの収益を獲得できない可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2)⽇本橋兜町・茅場町及び札幌再開発等の不動産開発について

当社グループでは⽇本橋兜町・茅場町及び札幌再開発等の不動産開発を⾏っておりますが、既存ビルの取壊し等の際には、テナントの⽴ち退きに関する費⽤や建物の除却損等により特別損失が発生することがあります。また、現在賃貸収益を得ている既存の賃貸事業資産を再開発する際には、開発期間中は当該資産からの賃貸収益が減少することがあります。さらに、不動産開発に際しては、計画的な事業計画の⽴案・推進等を⾏っておりますが、当社が計画時に想定していなかった事情により、地価や資材その他の建築費等の上昇、開発にかかる許認可⼿続きの遅延、関係者との合意形成期間の⻑期化、建設⼯事等の不備やオフィス市況の悪化によるテナント誘致の遅延等が生じることにより、想定外の費⽤発生やプロジェクトの遅延もしくは中⽌による賃貸収益の減少等を余儀なくされる場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)賃貸事業資産及び収益⽤不動産への投資と有利⼦負債残⾼の推移について

当社グループは、収益⼒の強化・安定を⽬指し、賃貸事業資産及び収益⽤不動産の取得や建替え、開発等を進めておりますが、その取得資⾦や建設資⾦等を主に有利⼦負債により調達していることから、⾦融情勢や⾦利の動向等によっては⾦融費⽤が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、有利⼦負債残⾼及びネットD/Eレシオを適切な⽔準に維持し、有利⼦負債の調達の⼤半を⻑期による借⼊とし、借⼊の⼤半について⾦利を固定化して⾦利変動による影響を少なくするべく対処しておりますが、⾦融情勢や⾦利の動向等の環境が当社グループの想定と異なる状況となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)資産価格の変動について

当社グループが保有する賃貸事業資産については、⼀部の少額資産を除き外部の不動産鑑定会社による鑑定評価等の価格評価を毎期末に取得しており、資産価格の変動を注視しておりますが、今後の不動産市況の動向等により、当社グループが保有する不動産の価格が下落した場合等には、減損損失及び棚卸資産に対する評価損の計上等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、投資有価証券を保有しており、政策保有株式については、中⻑期的な事業展開上有益であると考えられる、取引関係の強化、財務活動の円滑化、事業提携の強化等を⽬的として、株式の政策保有を⾏っています。当社は、毎年、取締役会において、中⻑期的な事業展開上有益であると考えられる、取引関係の強化、財務活動の円滑化、業務提携の強化等の保有⽬的に沿っているか、及び個別の政策保有株式について、保有に伴う便益や資本コスト等を総合的に勘案し、保有の適否を検証しております。かかる検証の結果、保有の妥当性が認められないと判断された場合には、株価や市場動向等を考慮して売却することにより縮減していくこととしておりますが、株式の市場価格が下落するなど、保有する投資有価証券の価値が⼤幅に下落した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(5)繰延税⾦資産に係る財務上の影響について

当社グループは、将来の課税所得の⾒積り等に基づいて繰延税⾦資産の回収可能性を評価しております。当社グループの経営計画に基づき将来の課税所得を⾒積っておりますが、景気変動、不動産市況、⾦融情勢の変化等により、計画どおりに推移せず、その⾒積額が減少し繰延税⾦資産の⼀部⼜は全部を回収できないと判断した場合、あるいは税制関連の法令改正がなされ、法⼈税率の引き下げ等が⾏われた場合、繰延税⾦資産を減額し、税⾦費⽤を計上することになります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(6)三菱地所株式会社との資本業務提携について

当社は、2011年2⽉17⽇付で、三菱地所株式会社との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)契約を締結しました。現在、同契約に基づき、三菱地所株式会社との間で密接な事業上の協働関係を構築のうえ、⽇本橋兜町・茅場町地区の再開発に関する取り組みを中⼼に事業シナジーを最⼤化させるべく本資本業務提携に取り組んでおりますが、事後的に発生した想定外の事象や環境の変化等によって、本資本業務提携について当初期待した効果が得られない可能性があるほか、将来、何らかの事由により本資本業務提携が終了する可能性もあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)⾃然災害等について

地震その他の⾃然災害、事故やテロその他の⼈災により保有資産が劣化または消滅することにより修繕、建替のために多額の⽀出を余儀なくされたり、賃貸収益が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、保有資産に対する防災機能の強化及びBCP対策の強化等の施策により、⾃然災害等による影響の低減を図っておりますが、当社グループの想定しない事情が生じた場合には、これらの施策による効果が得られない可能性があります。

(8)不動産関連法制について

当社グループの各事業には、借地借家法、建築基準法、都市計画法等、各種法規制が適⽤されております。将来、これらの法規制が改正された場合や、新たな法規制が設けられた場合には、新たな義務や費⽤負担の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、法規制改正情報等の早期⼊⼿、弁護⼠による⾒解⼊⼿、許認可⾏政機関との円滑なコミュニケーション等を⾏っておりますが、このような施策にもかかわらず、当社グループの想定と異なる法規制の改正や新規制定が⾏われる可能性があります。

(9)従業員による不正リスクについて

当社グループは、内部統制システムの整備・維持を図り各種法令等の遵守に努めております。役職員の意識改⾰、管理体制の強化・充実等、内部通報制度の充実、不正⾏為に対する厳格な対応等の再発防⽌策を徹底しておりますが、これらの施策にも関わらず、従業員による不正⾏為があった場合、当社グループの社会的信⽤、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(10)サステナビリティに関するリスクについて

当社グループは、当社グループの経営計画なども踏まえつつ社会課題を洗い出し、当社としての重要度及びステークホルダーにとっての重要度という2軸で検討し、当社が⽬指す社会価値及びマテリアリティ(重要課題)を特定しており、サステナビリティ経営を重要課題の⼀つとして認識しています。当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、「(7)⾃然災害等について」に記載のリスクに加え、環境負荷の⼩さい不動産開発・運営を求める規制の強化による開発機会の減少や運営費⽤の増加、環境負荷の⼩さなオフィスビルへの顧客企業のニーズの変化及びこれらに対応できないことによるレピュテーションの低下などがあります。当社グループは、サステナビリティ経営の実践に向けた、サステナビリティ施策の円滑な推進を⽬的に、代表執⾏役社⻑を委員⻑とする「サステナビリティ委員会」を中⼼に、気候変動などの環境に対する取り組みを含め、サステナビリティ施策に関するPDCAをモニタリングし、重要な内容については取締役会への報告等を⾏うことにより、サステナビリティ経営の実効性を⾼めておりますが、これらのリスクへの対応が遅れる場合は、当社グループへの業績及び財務状況に想定を超える影響を与える可能性があります。

(11)情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループでは、各事業において個⼈情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っており、サイバー攻撃、当社グループの役職員によって外部への情報漏えいが発生した場合、当社グループの社会的信⽤の低下、損害賠償の発生等により、当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループは、情報セキュリティ管理体制の確⽴、基本⽅針に基づいた社内規定の整備、情報セキュリティの確保に必要な教育等の継続的な実施等による不正アクセス、破壊、情報漏えい、改ざん、紛失、盗難などの脅威から情報資産を確保し、安全性を確保するために、適切な対策の実施に努めておりますが、サイバー攻撃は⽇々⾼度化しており、これらの対策によっても全ての情報漏えいを防ぐことができる保証はなく、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループは業務運営にあたって情報通信システムを⽤いており、当該システムがサイバー攻撃を受けた場合や当該システムにシステム障害が発生した場合などには⼀定期間業務運営が停⽌することなどにより当社グループへの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(12)感染症に関するリスクについて

新型コロナウイルス感染症のような感染症の⼤規模な流⾏が発生した場合、国内外における⾏動制限や経済活動の停滞等に伴い、当社グループの賃貸事業資産においてホテル稼働率の低下、⼊居テナントの業績悪化等による賃貸料の減額・退去、⾃社経営の店舗売上の減少等が起こり、当社グループへの業績及び財務状況に影響が生じる可能性があります。当社グループは、リスクマネジメント体制によりリスクマネジメントを⾏っておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループへの業績及び財務状況に想定を超える影響を与える可能性があります。

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