受賞実績

平和不動産は、兜町をはじめとし、歴史や街の文脈を尊重しながら時代に合わせた場づくりを進めてきました。
その一つひとつのプロジェクトが、街に新たな価値をもたらし、多くの評価をいただいています。
近年では、グッドデザイン賞をはじめとする各種表彰を受賞し、その独自性が高く評価されています。
本ページでは、当社の受賞実績を時系列でご紹介いたします。
また、日本橋兜町における平和不動産のプロジェクトについてグッドデザイン賞審査員の五十嵐先生よりコメントを頂きました。

五十嵐 太郎先生コメント
  • 2024

    白水社東京本社オフィス

    グッドデザイン賞

    長年に渡り総合ディスプレイ会社として空間創造を担ってきた白水社は、創業75年の節目に移転を決定。新オフィスを当社が街づくりを推進する日本橋兜町に選定いただきました。

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    評価コメント

    まず内部階段の竪穴で来訪者を迎えるエントランスホールの構えが素晴らしい。また竪穴の存在によって間口を狭め、ボトルネックとなる部分にセキュリティゲートを設置するなど、プラン上も合理的である。奥に拡がる 1F のワークプレイスでは、その竪穴や階段に呼応するように高さの異なる床が場を緩やかに分節し、多様な居場所を提供している。社員がその時々の仕事内容に応じて、最適な場を選択しながら働く動的な風景が想像できる。また B1F は、1F とは全く違う白く明るい空間で、その差異が社員のモードチェンジを促すのであろう。様々なきっかけに満ちたグッドデザイン賞に相応しいワークプレイスである。

  • 2023

    兜町第7平和ビル

    グッドデザイン賞

    銀行として使われていた本建物の屋内空間を用途変更にて店舗化するとともに一部屋外化。既存部材や撤去された階段の跡はそのままに、植物模様の手摺金具や花崗岩の床材、かつての住居表示板を再加工している。更に近隣の新築ビル(KITOKI)で使用された木の型枠を再活用するのに加え、日本橋川の水面のイメージから銅板の天井素材を取り入れ、エリア内での循環を意匠として表現している。ベンチやカウンターなども配置し、誰もが立ち寄りやすいスペースとすることで待ち合わせや談笑、購入したブレッドやコーヒーを食したりと、多様な動きが生まれる空間とした。

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    評価コメント

    以前にここをふらっと通りかかったことがある。兜町が変わってきていることは知っていたのだが、大きな開発だけでなく、コンパクトなプロジェクトを組み合わせて、街が有機的で生き生きとしていることが感じられた。ここでは、大きな計画にありがちな「街並み」というより「街角」が生まれている。減築し屋外化したスペースには、手触りのあるテクスチャーや物語を感じさせる部品が再利用されている。この小さな時間や歴史の断片の集積によって、人の居場所をつくることに成功しているのではないか。都市とは時間が重層することで厚みを増していくのだという普遍的なアイディアの実現は、やはり多くの人にとって魅力的に映ることはこのプロジェクトが証明してくれている。接木のように街をつくることが私たちの都市でも可能なのだ。

  • Edible KAYABAEN

    グッドデザイン賞

    当該施設は、遊休地のビル屋上約600㎡を200種以上の「食べられる菜園」へ整備することにより、持続的な都市緑化を実現。かつ、食育活動を通した、子どもを中心とした地域による継続的なコミュニティ活動の機会提供をすることで、中央区の課題解決と賑わい形成を企図した。

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    評価コメント

    都市部の遊休屋上スペースを活用した屋上菜園自体は、全国でも増えてきたが、この取り組みがそれらと異なっている点は、「Edible教育」を継続している点。栽培・収穫・調理のみならず、観察を通じた学びのプログラムを開発し、都心に住む多くの子どもたちに提供しているほか、コンポストなどの循環モデルも実現している。都市の異なるレイヤーがエディブルシティとして再編され続けるとともに、叶うなら、この取り組みが地上階にも拡がることを期待したい。

  • 2022

    KITOKI

    ウッドデザイン賞

    都市における木材活用の可能性を拓く「KITOKI」はSRC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に木造建築を組み合わせた10階建ての店舗兼オフィス。コンクリートの持つ100年もの耐久性と、木造建築の軽やかさのコンビネーションにより、都市の木質化に新しい可能性を拓きます。

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    評価コメント

    SRC造構造体に木造建築物を入れ子状に組み込んだ独自性ある作品である。実質的に低層木造建築と見なされるため、木造住宅のノウハウや特徴を活かしてフロアごとに様々な空間デザインを見せることに成功している。

  • The HEART

    日本サインデザイン賞

    今回受賞した「The HEART」は、日本経済の循環する血流の源として心臓を象徴したデジタルサイネージです。アイコニックなデザインのキューブ型LEDディスプレイ(幅6m、高さ5.5m、奥行き3m)、かつローテーションする分割されたLED機構は世界最大規模となっています。株価データをリアルタイムで処理し心臓をイメージした抽象表現に落とし込んだデータビジュアライゼーションは、株や経済に詳しくない人も日本経済の循環・脈動・熱量を直感的に感じることができるコンテンツとなっています。

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  • The HEART

    デジタルサイネージアワード 2022

    立体で可動タイプのLEDサイネージは国内では初めての事例でインパクトは大きい。ロケーションの制約はあるが、表示情報のバリエーションも多く、今後このタイプのサイネージが増えていくことが期待される。デザイン性にこだわったLEDの筐体設計(耐震・重量物)には非常に苦労されたと感じる。コンテンツも日本経済を象徴するTOPICなどを活用し、オリジナリティの高いメディアになっていることに感動した。形状やコンセプトが突出してユニーク。可動領域の分割にあわせた情報のインターフェイスも非常におもしろい。

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  • The HEART

    Red Dot Design Award 2022

    大型複合用途ビル「KABUTO ONE」1階アトリウムに設置された世界最大規模のキューブ型大型LEDディスプレイ「The HEART」が、国際的に権威のあるデザイン賞「Red Dot Design Award 2022」(レッドドットデザイン賞 2022)においてプロダクトデザインのInterior Design Elements部門で受賞いたしましたので、お知らせいたします。

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  • 2021

    The HEART

    グッドデザイン賞

    「コト始めの街」「投資・証券の街」日本橋兜町は明治以来、渋澤栄⼀翁が⽇本初の証券取引所や銀⾏を興した地歴を持つ。2021年この地に日本経済の循環する血流の源として「心臓」を象徴する「The HEART」が誕生。アイコニックなデザイン・ローテーションする分割されたLED機構は世界最大規模。この地の新たなシンボルとなる。

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    評価コメント

    世界最大規模というローテーションするLED機構は、角地に面することで、圧倒的な迫力と情報発信力を発揮できそうです。証券取引所の⽴会場閉鎖の影響で、日本橋兜町の金融街としてのリアルな熱気や賑わいが次第に薄れていくことは止むを得ないとしても、IT化されて熱量が伝わりにくくなった取引を視覚化して、なんとかこの地の意味や歴史を来街者に伝えたいという関係者の想いが形になっています。「The HEART」という名前もいい。生き物のように、世界情勢に敏感に反応するマーケットの様子を「心臓」になぞらえて、巨大な物体がリアルに動きながら、そこに映されるダイナミックな映像が、日本橋兜町の新しい象徴となることを期待しています。

  • 2020

    兜町第5平和ビル

    グッドデザイン賞

    「コト始めの街」「投資・証券の街」。日本橋兜町は、明治以来、渋澤栄一翁が日本初の証券取引所や銀行を興した地歴を持つ。大正12(1923)年竣工の兜町第5平和ビル。令和元(2019)年、31年前に覆われた外装鋼鈑パネルを取り外し、大正時代の姿を伝えるファサードへ改修を実施。現在は、複合商業施設として稼働する。

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    評価コメント

    関東大震災の年に竣工した銀行別館建物のリノベーションとファサード改修。ファサード改修は、大正時代の建築物の姿を伝えつつ97年の時間経過の中で加えられてきた様々な痕跡を残す方法を採っている。歴史性や象徴性を強調することない改修によって、長い間そこに建っていた建築物のまちに馴染んだ存在感を際立たせるものとなっている。約10haを対象とした地区再活性化プロジェクトに先立つハブとして、この比較的小規模な建物のリノベーションから始めているプロセス設計も興味深い。

Comment
五十嵐 太郎先生コメント

タウン誌『月刊 日本橋』の連載、ならびに髙島屋史料館TOKYOで監修した「さらに装飾をひもとく」展でとりあげる建築を探すために、何度も街を歩いたが、ここは東京の他のエリアにおける再開発とは違い、歴史性を重視した格式のあるデザインが多いことに感心させられる。そのうち兜町にいくつかの興味深いプロジェクトが、コロナ禍の期間に登場していることに気づいた。たとえば、変形するキューブ型のディスプレイ「THE HEART」(2021年)がアトリウムに吊り下げられたKABUTO ONE、古典主義的な外観をもつ銀行(1923年)として建てられたビルをホテルにリノベーションしたK5(2020年)、木造を積極的に組み込んだハイブリッドな構造をもつKITOKI(2022年)というビル、そしてファサードを大胆に減築することによって、角地に人々の居場所を提供する兜町第7平和ビル(2022年)である。

また2024年にグッドデザイン賞の「産業/商業空間」部門の審査を担当していたら、応募作として白水社東京本社オフィス(2023年)の魅力的なインテリアに出会った。これらがすべて、兜町のイタリアのパラッツォを連想させる日証館(1928年)に本社を置く平和不動産が手がけた物件だったことは、後から知ることになる。ちなみに、前述した5つのプロジェクトはすべてグッドデザイン賞を受賞した。平和不動産によるプロジェクト・マップを手に、兜町を散策すると、さらにもっと多くのリノベーションや新築が街のあちこちに散りばめられていた。ほかに気になっていた場所もいくつか含まれており、ついにこれらの背景がつながった。東京証券会館の屋上において食育体験を行う菜園、Edible KAYABAEN(2022年)は、さすがに路上を歩いても見つけられないが、これもグッドデザイン賞の取り組み部門で受賞している。

街区をまるごと建て替え、高層化し、都市の風景ががらっと変わるような開発ではない。ほとんどのプロジェクトは決して大規模ではないが、兜町のツボを押し、効果的に都市をアップデートさせること。銀行発祥の地であり、新札の肖像に選ばれた渋沢栄一との縁が深い、かつて金融街として成長した兜町は、洗練された飲食店、ギャラリー、スタートアップ起業の場として生まれ変わろうとしている。日本においてリノベーションが注目されるようになったのは、21世紀に入ってからだが、同一の不動産が東京の特定のエリアで集中的に小さな介入を行うのはめずらしい。その結果、似たような開発を増やすのではなく、それぞれの場所のポテンシャルをいかした個性的なプロジェクトが導かれ、互いに相乗効果をもたらす。歴史を背負う兜町という街にふさわしいデザインである。

五十嵐 太郎いがらし たろう
日本の建築評論家・建築史家。1967年生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院修了。東北大学教授。大学では、近現代建築史や建築論を教える。多くの書籍を執筆し、建築メディアでも活躍。国内外の建築・都市計画に関する評論を行い、展覧会の企画や審査員も務める。
五十嵐 太郎
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グッドデザイン賞

1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は、優れたデザインの象徴として広く親しまれています。

【公式 HP】https://www.g-mark.org/

ウッドデザイン賞

木を使うことによって、社会課題の解決を目指す活動を、「ウッドデザイン」と定義。SDGsやカーボンニュートラルへの取組が必須となっている今、森林や木材の利活用がクローズアップされています。木を活かして、新たな時代の価値をデザインする。「ウッドデザイン賞」は、木の良さや価値を、デザインの力で再構築することを目的として、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究などを募集・評価し、表彰する顕彰制度です。実施結果:応募数330点/入賞数188点、入賞のうち、上位賞は28点

日本サインデザイン賞

優れたサインデザイン作品を広く社会にアピールすることにより、サインデザインの普及および啓発を図ることを目的として、1966年以来続けられてきた日本で唯一のサインデザインを対象とした賞です。

公益社団法人 日本サインデザイン協会 ウェブサイト

International Design Excellence Awards(インターナショナル・デザイン・エクセレンス賞)

アメリカ・インダストリアル・デザイナー協会が主催するデザイン賞で、1980年に開設されました。インダストリアルデザインを対象とし、経済の質に大きな変化と貢献をもたらすユニークで斬新な作品を評価し、その価値を幅広く伝えていくことを目的としています。

アメリカ・インダストリアル・デザイナー協会 ウェブサイト

デジタルサイネージアワード

一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムが主催し、公募したデジタルサイネージ作品の中から優秀な作品を選出・表彰することでデジタルサイネージ市場をさらに活性化していくことを目指すものです。

デジタルサイネージアワード 2022 受賞作品

レッドドット・デザイン賞

ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター(Design Zentrum Nordrhein Westfalen)が主催する1955年に創設された国際的なデザイン賞。プロダクトデザイン、ブランド&コミュニケーションデザイン、デザインコンセプトの3つの部門に分かれており、国際的に活躍するデザインの専門家によって、デザインの革新性、機能性、人間工学、耐久性などの基準から厳正に審査されます。毎年世界60か国以上の企業、組織、デザイナーから10,000件を超える応募がある、大変権威ある賞です。

Red Dot Design Award 公式サイト