対処すべき課題

当社グループの対処すべき課題について記載しております。なお、⽂中の将来に関する事項は、2024年3⽉31⽇現在において当社グループが判断したものであります。

経営⽅針、経営環境及び対処すべき課題等

平和不動産グループでは、2020年度から2023年度の4か年を「街づくりに貢献する会社」として挑戦・飛躍していく期間と位置づけ、中期経営計画「Challenge & Progress」を推進してきました。
日本橋兜町・茅場町における街づくりおよび札幌の大規模再開発を推進し、外部成長・内部成長を通じた付加価値創出のビジネスモデルに転換するとともに、サステナビリティ施策の推進による社会課題の解決に貢献することで、業績においては連結営業利益120億円以上、EPS200円以上、ROE6%以上など、すべてのKPIを達成し、グループとして大きな飛躍を遂げる4年間となりました。
今後のわが国経済は、雇用・所得環境が改善するもとで、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方、世界的な物価上昇や金融引き締めによる海外景気の下振れ等には引き続き注意すべき状況です。 また、当社グループの経営環境においては、働き方の多様化・質的変化、インバウンド需要拡大、人口減少・少子高齢化、都市・地域間競争の激化など、都市環境とライフスタイルの変化が進み、さらに資本効率向上への期待の高まり、サステナビリティ経営の高度化、デジタル技術の進展、自然災害の脅威増大などにより、当社グループを取り巻く環境が目まぐるしく変化している状況です。
こうした経営環境を踏まえ、当社グループでは2024年3月29日に平和不動産グループパーパス「人々を惹きつける場づくりで、未来に豊かさをもたらす」を制定するとともに、平和不動産グループ長期ビジョン「WAY 2040」を策定し、2024年4月30日には新中期経営計画「WAY 2040 Stage1」を策定いたしました。これらの計画に沿い、再開発事業の拡大、利益成長と資本効率向上の両立、社会価値の向上、経営基盤の強化等に取り組むことにより、企業価値の向上に努めてまいります。

新中期経営計画策定の背景および位置づけ

新中期経営計画策定の背景および位置づけ新中期経営計画「WAY 2040 Stage 1」(2024年度〜2026年度)では、長期ビジョン「WAY 2040」のスローガンである「場づくりの連続で、非連続な成長を遂げる “Bazukuri Company”へ」のファーストステージとして、当社史上最大規模となる札幌再開発プロジェクトおよび長期ビジョンを実現するための新規事業分野への進出に挑戦することにより、「非連続な成長へのスタートダッシュ」の期間と位置付けます。

長期ビジョン実現に向けた新中期経営計画における重点戦略

(1)再開発事業の拡大〜人々を惹きつける場づくりの全国展開

  1. 日本橋兜町・茅場町ブランドの確立

    東京初進出の「キャプション by Hyatt 兜町 東京」のオープンによる新たな機能の導入によって街の様々な機能の相乗効果を創出いたします。また、FinGATEの拡張、平日・休日ともに賑わいをもたらす個性的な商業店舗の誘致・運営およびサステナブル先進タウン化等により、人々を惹きつける場づくりを多彩に展開し、日本橋兜町・茅場町ブランドを確立いたします。

  2. 当社史上最大規模となる札幌再開発プロジェクトの推進

    当社史上最大規模の再開発プロジェクトとなる大通西4南地区第一種市街地再開発事業および札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業を2028年の竣工に向け着実に推進し、札幌においても人々を惹きつける場づくりを展開することにより、札幌の都市競争力の強化に貢献いたします。

  3. 全国における再開発プロジェクトの展開

    “Bazukuri Company”としてのプレゼンスを高めるため、全国主要都市における当社保有アセットを中心とした再開発プロジェクトの事業化を推進します。

(2)利益成長と資本効率向上の両立〜賃貸事業+資本回転型ビジネスの拡大と新規事業分野への進出

  1. ビルディング事業における付加価値創出

    ビジネスモデルの展開ポートフォリオの入替えを通じて、物件売却益を獲得するとともに、付加価値創出のビジネスモデルをサステナブルに展開します。

  2. アセットマネジメント事業の収益拡大

    平和不動産リート投資法人の成長サポート等により、アセットマネジメントフィーの拡大を図るとともに仲介ビジネスの安定的な成長等により、資本効率の高いグループ収益の拡大を図ります。

  3. 長期ビジョンを実現するための新規事業分野への進出

    長期ビジョンのスローガンとして掲げる「非連続な成長」を遂げるためにホテル事業の強化およびM&Aの活用等による新規事業分野への進出を模索します。

(3)社会価値の向上〜サステナビリティ施策の推進

  1. サステナビリティ経営の実践

    “Bazukuri Company”としての活動により、GHG排出量ネットゼロをはじめとした環境・社会課題の解決に取り組み、各ステークホルダーとの双方向のコミュニケーションにより、サステナブルな社会の実現に貢献します。

  2. サステナブルな街づくりの推進

    環境配慮、防災力向上等の社会課題解決に対応したビル開発、建物運営および設備投資を実施し、GHG排出量の削減等に取り組みつづけることにより、資産ポートフォリオの競争力を向上させます。

(4)経営基盤の強化〜成長加速に向けた人的資本の最大化

  1. 株主資本コストおよび株価を意識した経営の実践

    2024年度から2026年度のROE目標として、株主資本コストを上回る7%以上を設定します。2024年度から2026年度の株主還元においては、株主資本コストおよび資本効率等を意識し、連結配当性向50%とし、自己株式取得については株価水準、投資計画および財務状況等を総合的に勘案し、機動的に実施します。

  2. 人的資本の最大化

    長期ビジョンにおいて非連続な成長を遂げるため、キャリア開発およびDX人材の育成等によるパーパスの実現を担う人づくり、多様性を推進し活かす組織づくりおよび健康経営をはじめとした働きやすく活き活きとした職場づくりに取り組み、人的資本経営を推進します。

  3. コーポレート・ガバナンスの更なる強化

    取締役会の機能強化、政策保有株式の縮減等により、コーポレート・ガバナンスの更なる強化を図ります。

計数⽬標

(1)財務・非財務KPI

資本コストを意識し、ROE目標を設定したうえで、現在の不動産市況の投資リターン水準を踏まえた内部留保(株主還元)の水準を設定します。

財務KPI 利益目標 EPS 270円以上
(2026年度)
連結営業利益 140億円以上(※1)
(2026年度)
資本効率 ROE 7%以上(※2)
(2024年度~2026年度)
株主還元 連結配当性向 連結配当性向50%程度(2024年度~2026年度)とし、自己株式取得については株価水準、投資計画および財務状況等を総合的に勘案し、機動的に実施。
非財務KPI 環境 GHG排出量 2025年度までに2018年度比80%削減(scope1+2)
2050年度までにネットゼロ達成(scope1+2+3)
水使用量 各用途において前年度より低減
廃棄物排出量 各用途において前年度より低減
社会 新卒女性採用比率:30%以上(5年平均採用数)
女性管理職比率:2030年度までに20%以上
キャリア採用者管理職比率:2030年度までに40%以上
健康診断実施率:毎年100%
がん検診(2年毎)実施率:35歳以上100%
ストレスチェック受検率:毎年100%
有給休暇取得率:毎年70%以上
男性育児休暇取得率:2030年度までに100%
救命講習資格保有者:全役職員
ガバナンス 連結純資産に対する政策保有株式残高比率:2026年度までに10%以下
※1 連結営業利益内訳
ビルディング事業:138億円、アセットマネジメント事業:24億円、全社消去・その他:△22億円
※2 参考指標(財務健全性):ネットD/E レシオ2.0倍程度

(2)キャピタルアロケーション(2024年度~2026年度)

2024年度
期初キャッシュ:約280億円
2026年度
期末キャッシュ:約200億円
事業による創出等:約700億円
(うち物件売却収入:約370億円)
再開発投資:約600億円

(内訳)
日本橋兜町・茅場町:約160億円
札幌:約400億円
その他:約40億円

物件取得投資:約230億円
有利子負債収入:約400億円 CAPEX:約170億円
株主還元:約180億円

上記に記載した各KPI及び投資計画は、いずれも現時点における目標値又は計画値であって、その実現を保証するものではなく、実績値はこれらと大きく解離する可能性があります。また、これらのKPI及び投資計画については経営環境の変化等に伴い、随時見直されることがあります。これらのKPI及び投資計画の達成を困難にする可能性がある主要なリスク要因については、「事業等のリスク」をご参照下さい。