Project Story
キャプション by Hyatt 兜町 東京
ホテルを起点に兜町を巡る、
新たな滞在型スタイルを提案
再開発によってかつての金融の街から
彩り豊かな街へと変貌を遂げつつある兜町。
いよいよ「キャプション by Hyatt 兜町 東京」の開業が迫っている。
今回は、開発推進一部の2人に、このプロジェクトについて話を聞いた。
SPEAKER
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開発推進一部近藤 大知Kondo Daichi2016年度入社 建築学専攻
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開発推進一部 兼 開発推進二部月花 雅志Tsukihana Masashi2021年度入社 建築学専攻

キャプション by Hyatt 兜町 東京
日本橋兜町は、東京近郊のどこへもアクセスがよく、古くから金融の中心として日本を牽引してきたエリアである。ここに、ハイアットの「キャプション by Hyatt」というエッセンシャルブランドを誘致することで、新しい価値観を体現し、兜町の歴史や活気、エネルギーを取り込むプロジェクトを推進している。「訪れる街」から「滞在する街」へと進化させるための街づくりをおこなっている。

訪れる街から滞在する街へ
KABUTO ONEの開業やFinGATEの整備、ホテルK5や20店舗を超える戦略的な店舗誘致により、ここ3年で1日あたりの来街者数は1万人から5万人にまで増加、来街者層も女性や子供連れ等が増えることで多様化しており、兜町は新たなステージを迎えている。日中の来街者は増加する中、さらに週末や夜間を含めてより長く滞在してもらいたいという想いから、ホテル開発が進められた。
単なる宿泊施設の枠を超え、街全体でゲストを迎え入れ、兜町・茅場町ならではの地域体験を含め、「街全体を楽しむ拠点」となることを目指した。それを実現するために誘致したのが、ハイアットが展開するホテルブランド「キャプション by Hyatt」だった。
「我々が提案したいのは、ホテルの中だけで完結する、もしくはガイドブック通りに観光スポットを巡るような滞在スタイルではありません。ホテルを一歩出て周辺を散策していただき、そして地域の魅力的なコンテンツや地元の人々との思いがけない出会いや交流を通じて、兜町・茅場町という街全体を楽しんでもらうことです。そのためにも、ホテルが地域の魅力を発信するとともに、地域との連携イベント等の企画を通じて、ホテルと地域の繋がりを積極的に生み出していきたいと思います。そして、ホテルの中心にはトークショップがあります。そこは、宿泊者以外の方も気軽に訪れ、食べたり、飲んだり、語らったり、仕事をしたり、なんとなく過ごしたりできる場所であり、交流を育む場でもあります。と語るのは開発推進一部の近藤だ。

サステナブルなまちづくりに
貢献するホテルへ
このプロジェクトの大きな特徴の一つは、外資系ホテルでは初となる「木造ハイブリッド構造」を採用した点である。木造を採用した理由について、月花は次のように説明する。
「当社の『サステナブルな街づくり』に基づいて採用しています。木造は製造時の二酸化炭素排出量が削減でき、環境負荷を軽減できるのが大きなメリットです。また構造材に加えて、外装・内装等の仕上げ材にも木材を積極的に活用し、木ならではのやすらぎとぬくもりを感じられるホテルを目指しています。
ファサードデザインについても当社が強くこだわった部分であり、構造材として採用している木造柱・梁が、通りを歩いている人からもガラス越しで見通せるようにすることで、人々を惹きつけるデザインを意識しています。」
一方で、課題もある。
「高層建築物における木造利用は、日本においても発展途上であり、防火上・耐震性・遮音性等において課題はあります。我々が採用した構造手法も事例がないような先進的な取り組みだったため、設計者や施工者にご尽力いただきながら、いかにして高い耐震性やホテルに求められる機能性を確保しながら、意匠性と環境配慮のバランスがとれた建物とするか模索しました。検討の甲斐もあり、国交省による「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)※1」への採択や「DBJ Green Building認証(プラン認証)※2」の取得にも繫がりました。」
一級建築士の資格を持つ月花の開発へのこだわりは強い。設計者、デザイナー、施工者と連携しながら、木造建築のメリットを最大限に活かし、デメリットを補完する建築技法をプロジェクトにしっかり落とし込んでいる。
※1サステナブル建築物等先導事業とは、中高層・大規模木造建築物の整備を促進するため、構造・防火及び生産システムの面で先導的な設計・施工技術を導入したプロジェクトや普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトに対して、国土交通省が支援を行う制度。
2022年8月24日付 当社プレスリリース
令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)『(仮称)兜町12プロジェクト』が採択 〜木造ハイブリッド構造を有する外資系ホテルとしては初の採択〜
※2 DBJ Green Building認証とは、「環境・社会への配慮」がなされた不動産とその不動産を所有・運営する事業者を支援する取り組みとして2011年に創設された認証制度。(日本政策金融公庫HPより引用)
2024年9月5日付 当社プレスリリース
「『キャプション by Hyatt 兜町 東京」都内ホテルとして初の「DBJ Green Building認証(プラン認証)』」取得 環境・社会配慮の取り組みが評価され、評価ランク4つ星を取得

コストバランスを調整する
一つ一つの積み重ね
コロナウイルスの蔓延、ウクライナ問題、為替変動等、様々な外的要因により建設工事費が急騰し、本プロジェクトも大きな影響を受けた。コストマネジメントとホテルとしての商品価値のバランスについて近藤はこう話す。
「事業を前に進めるためには、大幅なコスト低減が必要不可欠な状況でしたが、一方でホテルとしての商品価値も保たないといけません。そのバランスをどう図っていくかが、このプロジェクトで私が最も注力した点です。ゲストの宿泊体験に直結する客室や、多くの方々が出入りするトークショップ等、ホテルの印象を左右するような重要な空間にできるだけコストを配分しつつ、それ以外でコスト削減できる部分がないか、関係者と徹底的に協議を積み重ねてきました。その結果、通常であれば見過ごしていたような、建物の隅々まで商品検討を行うことで、人の体でいうと、無駄がない、非常に筋肉質な建物になったのではないかと思います。」
プロジェクトに後から加わった月花も、こう振り返る。
「このプロジェクトは非常に多くの関係者が携わっています。近藤さんの高度なコミュニケーション能力を見習いながら、自分もプロジェクトを円滑に進められるよう努力しています。」
コロナ禍でプロジェクトを進める中、想定外の建設工事費高騰という大きな課題に直面したが、開発推進一部はこれまでの経験と関係各社との密なコミュニケーションを武器に、開発のクオリティーをしっかりと担保しながら乗り越えた。その第一線で尽力した近藤と月花の活躍がこのプロジェクトを支えている。

開業に向けて、そしてその先へ
最後に、2025年秋の開業、そしてその先の街づくりについて二人に抱負を聞いた。
近藤
「ホテルが地域に良い波及効果をもたらす存在となるよう、開業まで全力を尽くします。そして、地域の賑わい創出に貢献したいと考えています。」
月花
「ホテルが街と強く結びつき、地域全体が連鎖的に発展していくことを目指しています。宿泊者以外も気軽に訪れたくなるホテルとして、街全体の魅力向上に寄与したいです。」
兜町は、「キャプション by Hyatt 兜町 東京」の開業を契機に、さらなる魅力を備えた街へと進化する。人々を惹きつけ、滞在する価値のある街を目指し、平和不動産の挑戦はこれからも続いていく。
